昭和の初め頃、鍼灸は「痛いところに施す」というのが主流でした。
この症状・診断名にはこのツボを使うなど、局所治療、ツボ療法として行われていました。
これは西洋医学の普及が急速に進み、
解剖学的に痛み、西洋医学的に症状を捉えようとした結果だと言われています。
しかし東洋医学の観点では、局所のみならず全体を診ることで
更なる力を発揮することができると考えられました。
経絡治療はおよそ2000年前に刊行された中国の医学古典書である
素問・霊枢・難経を原典としています。
東洋医学的な生体観念の元、すべての病は経絡の変動として現れ、
主に鍼灸を用いて変動を正しく戻すことで治癒に導くとされています。
昭和14年頃に形作られたものを、今日に至るまで多くの先生方の手で
整理、研究、臨床、フィードバックを重ねてきている治療法です。
素問:生理、衛生、病理などの医学理論
霊枢:診断、治療、鍼灸術などの臨床医学が重点的に記されている
難経:素問、霊枢の難解な箇所について解説した書とされ
脈学、経絡、臓腑、疾病、兪穴、鍼法について論じられている